清瀬市の財政をわかりやすく解説|歳入・歳出・財政力指数から見る現状

清瀬市について
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清瀬市の財政とは?

清瀬駅

東京都多摩地域の北部に位置する清瀬市は、緑豊かな住宅都市として発展してきました。約7万人の市民が暮らすこのまちは、子育て・福祉・教育・公共施設など、様々な行政サービスによって支えられています。

それらの基盤となるのが、市の財政です。財政とは、市の歳入(収入)と歳出(支出)の関係を示すもので、どのようにお金を集め、何に使っているかを表します。市民生活の充実度や行政の安定性を考えるうえで欠かせない視点です。

また、清瀬市のような基礎自治体では、「どの程度、自前の税収でまちを運営できているか」を示す財政力指数などの指標も重要な要素です。

清瀬市の歳入と歳出

歳入(収入)の種類

清瀬市の歳入には、大きく分けて「自主財源」と「依存財源」の2種類があります。

自主財源とは、市が自ら集めることができるお金のことです。代表的なのが市民税や固定資産税などです。これらは地域経済や人口規模の影響を大きく受けるため、安定した税収を確保できるかどうかが財政運営の鍵になります。

自主財源の種類一覧
  • 市税:
    市民や事業者から徴収する税金。個人市民税・固定資産税・都市計画税など。
  • 分担金及び負担金:
    公共事業などの受益者が一部負担する際に徴収されるお金。保育料・下水道整備負担金など。
  • 使用料及び手数料:
    公共施設など、市のサービスに対して利用者が支払うお金。入館料・各種証明書の発行手数料など。
  • 財産収入:
    市が所有する財産を貸し付けたり、売却して得る収入。市の預金利息などの財産運用による収入も含む。
  • 寄附金:
    市民や企業などからの寄附によって得られる自主的な収入。ふるさと納税も含む。
  • 繰入金:
    過去の基金や特別会計など、他会計から一般会計へ振り替えられる資金。
  • 繰越金:
    前年度に使い切れず残った資金を次年度に繰り越したもの。
  • 諸収入:
    雑多な収入で、保険金や雑所得など、他の区分に属さないものを含む。
  • 市債:
    市が発行する地方債。公共施設整備などの大規模事業に充てる一時的な借入金で、返済義務がある。

依存財源とは、国や東京都などから交付・補助されるお金を指します。代表的なものに地方交付税、国庫支出金、都支出金などがあります。これらは、市単独の判断では増減をコントロールしにくく、外部要因によって左右されやすいのが特徴です。

依存財源の種類一覧
  • 地方譲与税:
    国が徴収した国税から、一定の基準に従って地方に譲与したもの。
  • 利子割交付税:
    預貯金の利子に課される個人住民税を、国が取りまとめて徴収し、各自治体に分配したもの。
  • 配当割交付税:
    株式や投資信託の配当所得にかかる個人住民税を、国が取りまとめて徴収し、各自治体に分配したもの。
  • 株式等譲渡所得割交付金:
    株式などの売買益にかかる個人住民税を、国が取りまとめて徴収し、各自治体に分配したもの。
  • 法人事業税交付金:
    都道府県が徴収した法人事業税から、一定の基準に従って各自治体に分配したもの。
  • 地方消費税交付金:
    国が徴収した消費税のうち地方分(地方消費税)から、都道府県経由で各自治体に分配したもの。
  • 環境性能割交付金:
    都道府県が徴収した自動車税環境性能割から、各自治体に分配したもの。
  • 交通安全対策特別交付金:
    国が徴収した自動車重量税から、各自治体に分配したもの。主に交通安全関連費に充てられる。
  • 国有提供施設等所在市町村助成交付金:
    国が徴収した国税から、国有地や国の施設が多い自治体に交付したもの。
  • 地方特例交付金:
    税制改正や制度変更があった際、国が徴収した国税から、財政調整費として自治体に交付したもの。
  • 地方交付税:
    国が徴収した国税から、財政力の弱い自治体に交付したもの。
  • 国庫支出金:
    国が徴収した国税から、国が所管する事業の経費を補助または負担するために、自治体に交付したもの。
  • 都支出金:
    都道府県が徴収した税収や国からの交付金から、都の補助制度や負担事業に基づき自治体に交付したもの。

歳出(支出)の種類

清瀬市の歳出(支出)は、市民の生活や地域運営に必要な事業に使われており、大きく分けて「義務的経費」「投資的経費」「その他経費」の3つに分類されます。

義務的経費とは、人件費・子育てや介護の福祉給付・借入金の返済など、優先的かつ固定的に必要となる費用で、削減の自由度が低い領域です。

義務的経費の種類一覧
  • 民生費
    子育て・介護・障害支援など、市民の生活支援や福祉に関する事業に関する費用。
  • 公債費
    市がこれまでに借り入れた地方債(市債)の元金と利息の返済に関する費用。

投資的経費とは、道路・公園・公共施設などの新設や維持改修など、将来効果を見込む整備投資で、事業計画の有無で年度間の増減が大きいです。

投資的経費の種類一覧
  • 土木費
    道路・橋・公園・下水道など、生活基盤となる都市インフラの整備や維持管理に関する費用。
  • 消防費
    消防署や消防団の運営・消防車両や設備の整備など、火災や災害への対応体制を維持するための費用。
  • 教育費
    小中学校・図書館・公民館の運営や施設整備など、学校教育や社会教育に関する費用。
  • 農林業費
    農地保全や地場産業の支援など、農業・林業の振興や生産基盤の整備に関する費用。
  • 商工費
    中小企業や商店街への支援・雇用対策・観光や地域産業の活性化など、商業・工業の振興に関する費用。

その他経費とは、補助金や維持管理費など、行政運営を日常的に回すための費用で、規模は大きいが政策判断で調整の余地があります。

その他経費の種類一覧
  • 議会費
    議員報酬や会議開催・議会事務局の運営など、市議会の運営に関する費用。
  • 総務費
    職員の人件費や庁舎維持費・情報システム・選挙など、市役所全体の管理運営に関する費用。
  • 衛生費
    保健センターの運営・ごみ処理・公衆衛生・環境保全など、市民の健康や生活環境を守るための費用。
  • 労働費
    勤労者福祉施設の運営や職業相談・雇用促進施策など、雇用や労働環境の整備に関する費用。
  • 諸支出金
    他の会計への繰出金や一時的な支出など、特定の経費区分に当てはまらない支出をまとめたもの。
  • 予備費
    予算編成時に想定できなかった支出に備えて計上する費用。災害対応など緊急的な支出に充てられる。

数字で見る清瀬市の財政状況

自主財源と依存財源の推移

安定した歳入は、市の運営やまちの発展を支える土台です。特に自主財源の動きは、清瀬市がどの程度、自らの力で財源を確保できているかを示す重要な指標となります。

清瀬市の歳入(出典:清瀬市|一般会計決算書
自主財源 [円]依存財源 [円]合計 [円]
2019年度15,228,110,527
(47.4%)
16,885,024,341
(52.6%)
32,113,134,868
2020年度17,139,422,720
(38.9%)
26,870,237,484
(61.1%)
44,009,660,204
2021年度15,644,379,306
(40.7%)
22,745,293,223
(59.3%)
38,389,672,529
2022年度16,311,645,810
(43.1%)
21,524,329,831
(56.9%)
37,835,975,641
2023年度16,010,022,279
(41.6%)
22,459,963,251
(58.4%)
38,469,985,530
2024年度16,140,743,415
(41.7%)
22,584,375,941
(58.3%)
38,725,119,356

清瀬市の歳入総額はおおむね370〜390億円の間で推移しています。自主財源比率はおおよそ40〜45%前後で安定しており、市の運営は国や都の交付金に一定程度支えられている構造です。

特に2020年度は新型コロナウイルス対応による国庫支出金の増加で、依存財源の割合が一時的に高まったことが特徴です。

財政力指数の推移

歳入構造の次に注目したいのが、清瀬市の「財政力指数」です。これは、市が標準的な行政サービスを行うために必要な財源を、どの程度自前で賄えるかを示す指標です。

前章の自主財源比率が「実際にどれだけお金を集めたか(結果)」を表すのに対し、財政力指数は「どれだけお金を集める力があるか(能力)」を表します。

一般的に1.0を下回ると、自前の財源だけでは標準的な行政サービスをまかなえないと判断され、国から地方交付税交付金を支給される対象となります。

財政力指数(出典:清瀬市|わかりやすい決算書
清瀬市全国平均
2019年度0.6820.52
2020年度0.6840.52
2021年度0.6740.50
2022年度0.6670.49
2023年度0.6580.49
2024年度0.658未公開

清瀬市の財政力指数はおおむね0.66前後で推移しており、近年はやや緩やかに低下傾向を見せています。

自前の税収だけでは標準的な行政サービスをまかなうには届かず、一定の国や都の支援を受ける構造が続いています。大きな変動はないものの、今後も安定した税収の確保が課題となる状況です。

近隣市と比べた清瀬市の財政力

清瀬市の財政力指数を、隣接する都市と比較してみましょう。

同じ多摩北部から埼玉県境にかけての自治体でも、人口規模や商業施設の集積度により、財政力には明確な差が見られます。

財政力指数(出典:総務省|地方公共団体の主要財政指標一覧
清瀬市東村山市東久留米市新座市所沢市
2019年度0.680.810.840.910.97
2020年度0.680.800.840.920.97
2021年度0.670.780.820.900.96
2022年度0.670.760.810.890.95
2023年度0.660.750.790.870.94

清瀬市の財政力指数は、近隣5市の中では比較的低い水準にあります。

住宅地が中心の都市構造のため、商業・工業系の税収が限られ、人口規模の大きい所沢市や新座市に比べて数値は抑えめです。

また、高齢化による税収減や社会保障費の増加、物価や人件費の上昇などにより、全国的にも財政力指数は緩やかな低下傾向が続いています。

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